○川西町環境基本条例

平成15年3月24日

条例第7号

私たちのまち川西町は、県内でも有数の丘陵地帯と豊かな緑に恵まれた四季折々の美しい自然に抱かれ、広大な田園と散居集落が織り成す原風景の中で伝統や文化を育みながら栄えてきた。

近年の社会経済の急速な進展は、生活の利便性を向上させる一方で、資源やエネルギーの大量消費によって、自然生態系の微妙な均衡の下で成り立っている環境に多大な影響を与え、私たちの生活や地域の環境、ひいては地球環境にも重大な影響を及ぼすまでに至っている。

私たちは、健全で恵み豊かな環境の下で、健康で文化的な生活を営む権利を有するとともに、このかけがえのない良好な環境を将来の世代に継承していく責務を有している。

それゆえに私たちは、これまで行ってきた自らの活動が環境に与える影響の重大さと、身近な環境をはじめ多様な生態系や地球環境の意義を強く認識しなければならない。さらに、環境への負荷が少なく持続的発展が可能な社会の実現を目指し、積極的に環境の保全と環境にやさしい生活文化を築いていかなければならない。

このような認識の下、美しい自然と豊かな緑のある環境を守り継承していくことを決意し、「緑と愛と丘のあるまち」を創造するため、この条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、良好な環境の保全について、基本理念を定め、町、町民及び事業者の責務を明らかにするとともに、環境の保全に関する施策(以下「環境施策」という。)の基本となる事項を定めることにより、環境施策を総合的かつ計画的に推進し、現在及び将来において町民が健康で文化的な生活を営むことができる環境を確保することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 環境への負荷 人の活動により環境に加えられる影響であって、環境保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。

(2) 公害 環境保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下及び悪臭によって、人の健康又は生活環境に係る被害を生ずることをいう。

(3) 地球環境保全 人の活動による地球全体の温暖化又はオゾン層の破壊の進行、海洋の汚染、野生生物の種の減少その他の地球全体又はその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全であって、人類の福祉に貢献するとともに町民の健康で文化的な生活の確保に寄与するものをいう。

(基本理念)

第3条 環境の保全は、町民が健康で文化的な生活を営むことができる豊かな環境を健全に確保し、これを将来の世代に継承できるよう適切に行わなければならない。

2 環境の保全は、日常生活や事業活動から生ずる環境への負荷の低減に努めるとともに、資源及びエネルギーの効率的利用を図り、循環を基本とする社会の構築を進めながら、持続的発展を目指し、すべての者の公平な役割分担の下に自主的かつ積極的に行わなければならない。

3 環境の保全は、地域における多様な生態系を健全な状態で確保するとともに、人と自然との豊かな触れ合いを保つことにより、人と自然が共生できるよう適切に行わなければならない。

4 地球環境の保全は、人類の共通の課題であり、私たちの生活が国際的な相互依存関係の中で営まれていることを認識し、すべての事業活動及び日常生活において積極的に推進されなければならない。

(町の責務)

第4条 町は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、自然的社会的条件に応じた環境施策を策定及び実施しなければならない。

2 町は、基本理念にのっとり、自らの事業活動に伴う環境への負荷の低減を図り、環境の保全に努めなければならない。

(町民の責務)

第5条 町民は、基本理念にのっとり、その日常生活において、資源及びエネルギーの節約、ごみの減量、環境配慮型製品の優先的な購入、水質汚濁の防止等により、環境への負荷の低減に自主的かつ積極的に努めなければならない。

2 町民は、環境の保全についての理解を深めるため、環境に関する学習及び教育への参加に努めなければならない。

3 前2項に定めるもののほか、町民は、基本理念にのっとり、環境の保全に自ら努めるとともに、町が実施する環境施策に積極的に協力するものとする。

(事業者の責務)

第6条 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動を行うに当たっては、公害を防止するとともに、自然環境を保全するために必要な措置を講ずる責務を有する。

2 事業者は、基本理念にのっとり、環境の保全上の支障を防止するため、事業活動に伴う製品その他の物が廃棄物となった場合に、適正な処理を図るよう必要な措置を講じなければならない。

3 前2項に定めるもののほか、事業者は、基本理念にのっとり、環境の保全上の支障を防止するため、物の製造、加工又は販売その他の事業活動を行うに当たって、その事業活動に係る製品その他の物が使用又は廃棄されることによる環境への負荷の低減に資する原材料等を利用するよう努めなければならない。

4 事業者は、基本理念にのっとり、環境保全上の支障を防止するため、必要な情報の提供に努めるとともに、地域社会の一員として、町が実施する環境施策に協力する責務を有する。

(環境施策の基本方針)

第7条 環境施策の策定及び実施に当たっては、基本理念にのっとり、次に掲げる事項を基本として、各種の施策相互の有機的な連携を図りつつ、総合的かつ計画的に行うものとする。

(1) 大気、水、土壌その他の環境の自然的構成要素が良好な状態に保持され、生物の多様性の確保が図られること。

(2) 本町特有の丘陵地、里山、農地、最上川の源流地域及び水辺地等における多様な自然環境が適正に保全されること。

(3) 資源の循環的利用、廃棄物の減量、エネルギーの効率的利用等を推進し、環境への負荷低減が図られること。

(4) 自然との触れ合いを確保するとともに、川西町古来の歴史的文化的資源の保全を図り、「緑と愛と丘のあるまち」の創造が図られること。

(環境基本計画)

第8条 町長は、環境施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、環境基本計画を定めなければならない。

2 環境基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。

(1) 環境の保全に関する目標及び施策の方向

(2) 環境施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項

3 環境基本計画を定めるに当たっては、町民及び事業者の意見を反映することができるように必要な措置を講じなければならない。

4 環境基本計画を定めたときは、これを公表しなければならない。

5 前項の規定は、環境基本計画の変更について準用する。

(施策の策定等に当たっての配慮)

第9条 町は、施策の策定等に当たっては、環境基本計画との整合を図り、環境の保全について配慮しなければならない。

(規制の措置)

第10条 町は、公害の防止及び自然環境等の保全を図るため、必要な規制の措置を講ずるものとする。

(誘導的措置)

第11条 町は、町民又は事業者が自らの行為に係る環境への負荷の低減並びに環境の保全に対する適切な措置をとるよう誘導するため、必要な措置を講ずるものとする。

(財政的措置)

第12条 町は、環境施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるものとする。

(環境の保全に資する事業等の推進)

第13条 町は、環境の保全に資する公共施設の整備その他環境の保全に資する事業を推進するため、必要な措置を講ずるものとする。

(生活環境及び自然環境への配慮)

第14条 町は、快適な生活環境を築くため、水辺地及び緑地の保全に関し、公園、緑地その他の公共的施設の整備、その他の自然環境の適正な整備及び健全な利用を図るための事業の推進等に努めるものとする。

2 町は、生物の多様性の確保に資するため、野生動植物の保護及びその生息地又は生育地の保全に努めるものとする。

3 町は、地域の特性を活かした快適な生活環境の保全のため、良好な景観の形成及び良好な景観を構成する歴史的文化的資源の保全に努めるものとする。

4 町は、地域の美しい環境を保全するため、ごみの投棄及び散乱の防止、美観を損ねる屋外における物の保管の防止等について、必要な措置を講ずるように努めるものとする。

5 町は、里山が有する環境の保全に資する多様な機能の維持に努めるものとする。

(環境保全型農業の促進)

第15条 町は、農地が有する環境を保全する機能の維持及び安全な農産物の生産を図るため、有機物資源を活用した土づくり、化学肥料及び農薬の使用の低減、使用済み農業用資材の適正な処理等、環境への負荷を低減する営農活動の促進に努めるものとする。

(環境保全に関する教育、学習等)

第16条 町は、環境の保全に関する教育及び学習の振興並びに環境の保全に関する広報活動の充実により、町民、事業者及び民間の団体(以下「町民等」という。)が環境の保全についての理解を深めるとともに、環境の保全に関する活動意欲の増進に努めるものとする。

(町民等の自発的活動の促進等)

第17条 町は、町民等が自発的に行う緑化活動、再生資源に係る回収活動その他の環境の保全に関する活動が促進されるよう、支援するものとする。

2 町は、前条又は前項の活動の促進に資するため、個人及び法人の権利利益に配慮しつつ、環境の状況及び環境の保全に関する必要な情報を適切に提供するように努めるものとする。

(地球環境保全の推進)

第18条 町は、地球環境保全に資する施策の推進に努めるものとする。

2 町は、国、他の地方公共団体、町民等と連携し、地球環境保全に関する国際協力の推進に努めるものとする。

(連携体制の整備等)

第19条 町は、環境施策について、町民等の意見を反映させる機会の提供に努めるとともに、環境施策を推進させるための連携体制の整備に努めるものとする。

(指導等)

第20条 町長は、環境への負荷の低減又はその改善を図るため、町民及び事業者に対し、必要な指導又は助言を行うことができる。

この条例は、平成15年4月1日から施行する。

川西町環境基本条例

平成15年3月24日 条例第7号

(平成15年4月1日施行)