朗読劇「イーハトーボの劇列車」が披露された
本町出身の作家・劇作家、井上ひさしさんを偲ぶ「吉里吉里忌」が4月13日、14日に行われ、北海道から沖縄まで全国から両日500人以上がフレンドリープラザに詰めかけました。
平成22年の没後5回目となった吉里吉里忌。
第1部は若竹千佐子さん(芥川賞作家)と池上冬樹さん(文芸評論家)が「わが心のドンガバチョ、井上ひさし先生こんにちは」と題し対談しました。
小説家デビューが50代半ばだった若竹さんは「もう遅いと思っても、心の中のドンガバチョが『まだ大丈夫』と言ってくれた」と井上作品に励まされたと語りました。
岩手県出身の若竹さんは「井上作品は方言を使ったものが多いので好き。方言はその地域の誇り高い言葉なので今後も作品として残していくべきだ」と語りました。
第2部は角野卓造さん(俳優)と今村麻子さん(演劇ジャーナリスト)が「井上芝居とわたし」をテーマに対談。
数々の井上作品を好演してきた角野さんは「井上さんは役者のことを考えながら台本を書いてくれている。セリフはリズムや言葉のチョイスが素晴らしく、発するのが気持ちいい」と語り、「井上作品に関わったことは自分の宝物。もう新作がないのかと思うと切ないし残念」と井上さんに思いを馳せていました。
吉里吉里忌では対談のほか、朗読劇「イーハトーボの劇列車」も披露され、来場者は井上作品の魅力を味わっていました。
なお、13日は32回目となる遅筆堂文庫生活者大学校が開講され、山下惣一さん(農業・作家)と前川喜平さん(元文部科学事務次官)が講師を務めました。
そして、14日は井上ひさし研究会の設立総会が開かれ、会長に今村忠純さん(大妻女子大学名誉教授)を互選、22万冊に及ぶ井上さんの蔵書や資料を活用し、井上作品を発信していくことを確認しました。
2018芥川賞作家の若竹千佐子さん(右)
立ったまま熱弁を振るう角野卓造さん(右)